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砂 時 計
陽は穏やかに降り注ぎ 庭に出てみました
時は音もなく もう人のいない邸宅からは
流れてゆく 全てが終わった哀しみと
遙かには透明な水平線 美しい主人を失くした
嘆きのみが伝わってきます
木造の古い小さな家
日射しの入るカーテン ふと長く伸びた草の中に
埃の積んだ本 小さな砂時計をみつけた
本棚の上には E・A
色褪せた貴女の写真 拾い上げると貴女のイニシャルが
刻んでありました
これは貴女が毎晩眠りについたベッド それは確かに
日当たりのよい白い縁取りの窓辺 僕が貴女を愛し始めた頃に
その横には木目模様の小さな机 貴女に気付かれぬように
そして・・ 机の上に置いたもの
椅子には白いレース地の
ドレスを着た貴女 ああ 貴女はこれが
両腕を机に投げ出して 僕からのものと
その中に顔を埋めて 気付いたでしょうか
永遠の眠りについている・・ 見ると・・
静かに 優しい風に溶け込んでいる さらさらと砂は流れてゆく
さら・・ さら・・
そおっと顔を覗き込むと さら・・ さら・・
口もと 優しく微笑んでいた と流れてゆく
流れ終えると 僕はゆっくりと
僕は部屋を抜け 砂時計をかえしてみた
静寂しきった廊下を歩いてみる
ゆっくりと・・ ゆっくりと
1975年5月7日
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