詩集「かもめ」




晩 歌

    本当に終わった恋なのか
    黒いスーツに包まれた躯の芯が冷えてゆく
    春の終わりの幻想に埋もれて
    深い憂いが忍び寄る
                             今日までの甘い夢に魅入られた
                               今日までの甘い夢に魅入られた
    幾たび悩んだ女だろう
    光と闇に挟まれて思い出が消えてゆく
    遠い日の貴方の顔を描きながら
    苦い涙が溢れ出る
                             言葉のつらさが身に沁みる
                               言葉のつらさが身に沁みる
    夜半の海に歩みゆく
    輝く星は蒼ざめて恋の唄が凍ってゆく
    浜に咲く薔薇の翳りに包まれて
    足跡を残して去ってゆく
                             憐れな戯れと嗤われる
                               憐れな戯れと嗤われる
    哀しみが風の如くに移りゆき
    引き裂く嘆きが揺れて漂う
    後にはただ・・棺のような冷たさ
    永劫の闇に横たわる
    終わった恋とは  眠られぬ
                                       1974年4月18日  







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