◆ゴールデン街の陽は暮れて◆

−第五話 《飲む有名人達》−


 
小学校の頃、筆者は漫画家を目指しておりました。一人っ子というのは寂しさを紛らわすために自然と絵心が身に付くようで、決して類希なる才能というわけでもないのですが、まあまあ絵は描けていたようです。

教室の後ろの黒板には学級新聞が貼り出され、そこに「さとう市」という漫画を連載しておりました。今は亡き勝新太郎主演の「座頭市」のパロディー版で、普段はやたらと強いのですが、雨が降ると溶けてしまって、途端に戦闘から離脱してしまう任侠さんなのです。なんかアンパンマンのようですが、このバージョンは多分僕の方が先でしょう。評判はどうだったか、よく覚えていませんが、次を読みたいと言われていたので、まずまずだったのでしょう。

でも、きっとあの当時は今でいうオタク的な存在に近かったかも知れません。漫画を書いてるなんていう輩は本当に少なかったような気がします。今はいい時代になりましたね。漫画家も立派な職業として認められるように成りました。

ここだけの話し。・・学校ではさとう市を描きながら、一人の部屋では女性の裸を描くのが上手くなってしまったのですね。遺伝とは恐ろしいもので、すけべ父親が隠していた秘本を見つけてしまった僕は危ないお絵かきに夢中になっていました。しかも、永井豪ばりのバイオレンスものを描いていたので、今続けていれば豪さんも僕の過激度には勝てなかったのじゃないかなぁ。
いやぁ、継続とは力だなぁ。僕なんかあの頃から今に至ってはただのドスケベ+S傾向のオヤジでしかないんですからね。情けないです。漫画描き続けておけばよかったなぁ。
きっと僕が小説家かなんかで大成功して充たされた生活でもしたらMさんに転身するのでしょうが、やはり生い立ちが貧しくて、満たされない男は妄想サドおやじ止まりなんでしょうかねぇ。生まれてからまだ一度も本当のプレイをしたことがありませんので、虐めさせてくれる若くて、おっぱい大きなM女性がいらっしゃいましたら、メールでも下さる、わきゃないだろ!。

漫画を書いていたせいか判りませんが、想像力や多少のデザイン・センスがあったお陰で中学では、美術の成績だけは数少ない5(当時は5段階評価でした)をもらうまでに実っていたのですが、絵の方は描いていないのですっかり駄目になってしまいました。今は幼い頃から残った空想力を頼りに筆を執ることに専念しています。

そういえば、花園ゴールデン街で上記の永井豪さんは一時飲んでいたらしいです。実はまだ有名になる前に「じゅりあん・それる」にも一回だけ来られたことがあるんですね。今でもその時の名刺が残っています。他の漫画家では滝田ゆう(以下敬称略)や、赤塚不二夫、はらたいら、サトウサンペイが飲んでいました。はらたいらさんとは別な店で一度お隣同士になったこともありました。

勿論、漫画家の方ばかりではありません。作家では野坂昭如、村上龍、中上健次、唐十郎、中山あい子、半村良、佐木隆三、立花隆、田中小実昌、夏文彦。

映画監督は錚々たるメンバーで、大島渚、深作欣次、高橋伴明、伊丹十三、山本晋也、大林宣彦、今村昌平、山田洋次、鈴木清順。役者では田中裕子、吉行和子、渡辺えり子、高田順次、原田芳雄、松田優作、西田敏之、菅原文太、山崎努、佐藤慶。

音楽関係では、ミッキー・カーチス、内田裕也、小室等、森田童子、松崎茂、20世紀末には小泉今日子が来たとか、来ないとか。椎名林檎がいたという話しもありますが、その目撃情報はどうもガセの様です。歌舞伎町の女王ちゃん、来てたらメール下さい。当分子育てで無理か・・。

野球選手では、掛布、江夏、田淵、江本、山本浩二等が集まる「熊の子」という店も昔はありました。

今はもう亡くなった方も多くなりましたが、それぞれの分野分野で集まる店が決まっていたようです。

僕が子供の頃には役者さんとも知らずに故・殿山泰司(お店もやっていました)と話していたりしていました。よくすれ違ったりした中には、故・タコ八郎がいました。昔、11PMという番組に時々出ていた内藤陳さんは今もお店をやっています。「小説・不夜城」の馳星周がアルバイトしていた店です。僕は店には一回しか行ったことがありませんが、他の店で陳さんと2時間ほど語ったことがありました。街では強面で有名らしいのですが、周りが騒ぐ様な過激な方には感じられませんでした。その時はたまたま機嫌がよかったのかな?。

今でもすれ違うことがあるのは写真家のアラーキーこと荒木経惟、彼は時々大勢の人を連れて、この街を紹介して歩いていました。きっとゴールデン街をいまだに愛している一人だと確信しています。声を掛けると気さくに返事をしてくれます。写真家だと森山大道さんもまだ飲まれていますね。
また、ゴールデン街の入口で緒方拳、佐藤慶の顔を見かけたのも最近です。このお二人はかなり以前から今に至り時々来てくれているようです。あと、岸谷五郎とスマップの仲居君は仲間内の情報で確認が取れています。これからも是非、若手芸能人の方々にも遊びに来てもらいたいものです。


では、当店に来たことのある有名人を披露しますと、前述の永井豪、アナウンサーの小林完悟、俳優の浜畑謙吉、蟹江敬三、登山家で当店に寄られた直後のチョモランマ登坂で亡くなられた加藤保司隊員、この方とは永い時間お話ししましたので訃報を聞いた時は涙が出ました。自民党議員の加藤紘一氏は防衛庁長官の時にSP付きで見えられてますね。

他にも色々な著名人の来店があったようですが、何せ当店はそういう方に対して普通の扱いしかしないので、色紙や記録が一切残っていません。そうです。飲んでる時は唯の人でしかありません。今もごく希に作家や歌手の方が見えますが、名前は伏せておきましょう。もし当店で芸能人の方とあっても決してプライベート・タイムを邪魔しないで下さいね。この街だけはそういった方も特別扱いしないのが昔からの流儀ですので。


夜もさることながら、この街の特色としては、昼も芸能関係者が行き来しています。非常に映画やテレビドラマのロケが多い場所なのです。流石に都心に近くうらぶれた雰囲気というと花園ゴールデン街しかないのでしょう。以前は柴田恭平主演の「はみだし刑事」のロケをやっていました。古くは「七人の刑事」から「太陽に吠えろ」、最近も「はぐれ刑事」、「サラリーマン金太郎」等では使っているようです。勿論、「映画・不夜城」にもチラリと出てきます。

僕がこの街の出身だった事実とは関係ない筈なのですが、余談として付け加えますと、一緒に飲んだことのある人には、キラー・カーン、ヒロ斉藤、輪島功一の格闘技系。なぎらけんいち、ジミー時田、三好鉄生等の音楽系の人は記憶に残っています。中山あい子さんにはピアノを買ってもらいました。どうも知らないうちに触れ合うチャンスがあるようです。勿論友人と呼べるような方々ではありませんので、誤解なきようお願い致します。


まあ、生で見たことのある有名人は数百人は越えると思います。やっぱり花園ゴールデン街は文化の村と言ったところでしょうか。最近の若手がいないのがちょっと残念かな。でも、きっと復活させますよ。もっと活気のある盛り場に。若い店主が頑張っていますからね。

まだまだ、他にも沢山の著名人がおりますが、正直言ってここでは書き切ることが出来ません。いつか、加筆してたいと思います。

この街に少しでも興味を持たれた方は昼夜を問わず、この街を散策してみては如何でしょう?。猫の他にも素敵な出会いがあるかも知れませんよ。

僕は暖かい日の昼間はよく自分の店の前のスペースでひなたぼっこをしています。今、私がやってる店は「流民(りうみん)」といいます。故・ねこぢるさんのご主人漫画家の山野一さんに描いて頂いたポスターが貼られていますから、よかったら見て下さいね。そして、その辺りでデッキチェアーに座っているなんか怪しそうなサングラスのおっさんを見かけたら、勇気を出して声を掛けて下さい。ちなみに店では「JOE」と名乗ってますから。「みつけたJOE!」と言ってくれれば、お茶ぐらい出して、ゴールデン街のお話でも少し披露いたしましょう。ではでは、お会いできる日を楽しみにしています。


さ〜て、ゴールデン街ストーリーは次で終わりとなります。皆さん楽しんで頂いてますか?。ちょっと感動したら、是非メールとか下さいね。ran@hanakin-st.net。ではでは。

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