社会を語ろう。JOEの私見


アジアカップ反日

 ●私は余りサッカーには詳しくない。ただ、ここ2回のワールドカップはサッカーというプロ競技ではなく、国際競技として熱を入れて観ていた。日本が此処まで強くなるとは10年前にはとても想像できなかった。当時は日刊ゲンダイ・スポーツ部のサッカー担当記者の方が私の店で飲んでいて、入場者数や選手の年俸等、日本サッカーの展望に不安を隠さなかったことを思い出す。多分今頃は花形記者になられているだろうが。
  世界の舞台では決して恥ずかしくない地位にまで登り上がってきた日本サッカーだが、今回のアジアカップでは露骨に中国観客からの反感を受けた。重慶での試合オマーン・タイ、特にイラン戦では日本のサポーターに対して、指を突き立てる、激しく罵声を浴びせる、物を投げつけるなど不穏な動きを見せた。更に勝ち抜いた日本が赴いた決勝の地北京・工人体育場では中国の初優勝を期待する約六万人の観衆でスタンドは真っ赤に染まった。反日応援過熱の懸念から、会場周辺は一万人の警備隊が配備されたが、試合前の日本国歌演奏時はブーイング、試合中も日本の攻撃時には激しい怒号が起こった。
  8月7日(土)試合は3-1で日本が優勝。中国が負けたことも手伝い、試合中に押さえられていた感情は試合後に一部で爆発する。約数千人だが心ない中国人サポーターは競技場の外で「反日」を叫び、日の丸を焼くなどして警官隊と衝突し拘束された者が出たほか、日本人は競技場内に足止めされるなど混乱、選手も一時、スタジアム内に閉じ込められる事態となった。
 中国生まれで現在東海大学の教授である葉千栄氏は報道番組に多数出演し、自国民の恥ずかしい行為に対して謝罪の思いを述べると共に現在両国が抱えている問題を提起した。彼の弁によると小泉純一郎の靖国参拝問題、尖閣列島問題、貿易上の交流が盛んであるのにも関わらず、国家首脳同士が4年間以上に渡り、交流がないことを挙げ、両国間関係の危惧を述べた。非常に分かり易い説明だった。
 また、他の評論家によると「中国国内にある経済的な格差等が外側に向いてしまっている」「ナショナリズム教育・愛国教育によって生まれて来た歪み」「中国的自由化経済の中で、国内の新聞は販売競争に入っており、メディアが等が複眼的な記事が書いていない」という見方もなされている。この他ホームページで様々なコメントを見たが、複合的に起こった出来事の様に感じた。
 葉氏は日本に対してスポーツという場面に於いて、理性の低い振る舞いに謝意を示してくれた上で日本の内側にある問題を提起してくれているが、日本人である私から観ると、政府の外交問題も大きいが、個々の日本人にも責任があるように感じる。私が彼と一番同じに感じるのはやはり今後の懸念である。
 日本の高度成長期は経済至上主義の中で何かも飲み込んできてしまった。日本人はそれを享受してきたが、全く足場を固めて来なかったことが露呈した。経済が悪くなってから国力・一人の人間力がどれだけ衰退していたを知り、戦争・原爆のことに関しても、歴史の証人が少なくなって来てようやく語られようとしている。置き去りにしてきてしまった中には、大事なものが相当あった様に感じる。
  若い人に平成より昭和の方がいいという意見を引き出した報道があったが、頷ける感じもある。平成という時代は全ての膿が出る時代なのではないかと私の中にも空恐ろしさが生きている。
 私のいる大凡お金儲けなんか出来そうもないレトロな酒場に若い店主が増えたことも、店の若い客さん達との会話でも求めているものが、金だったり良い生活ではないことがよく判る。彼等は多分まだ短い人生の中で今の状況を上手く表現出来ないだろうが、大事なものが何かは今の大人達よりも知っているような気がする。金ではなく心で繋ぎ合うものを失ってしまった日本が犯した問題は、国内の政治・社会問題に留まるわけではない。目を瞑り山積していったものをそのまま放置したツケの解決のためには、今が本当に大事な時期の様な気がする。
 
本来、此処では日中戦争の歴史に付いて触れたかったが、長くなってしまったので、やがて戦争の項目を分けてまた取り上げたいと思う。
 この国が新アジアの一員として認められるために、「歴史を知らない国民が国を滅ぼすことになる」という言葉を、私も改めて思い留め、勉強したいと思う。
(記述日 2004/08/13)






【RETURN 2004】