MY FAVORITE MUSIC
Alone




「君は強いから大丈夫だよ、なんて、
そんなこと言われたら、涙見せられない・・」
女性の切なさを謳った歌である。精いっぱいに強がる彼女、
だが、別れを留めきれずに離れてゆく、
心の思いは届かないまま・・。

俺の店で働いてくれていたKがある日言った。
「マスターすごくいい歌がある」のと・・
「岡本真夜という顔も判らない女性ボーカルだけど」
俺はすぐに新星堂に走ってシングルを2枚買った。
一枚を惜しげもなく彼女にプレゼント、そして店で聴いた。
同じ様な体験があったのだろうか・・。
彼女はまだ誰も来ない店でメロウになってゆく。
俺は胸にこみ上げる不安のために質問することは出来ない。

やがて、客が来る。涙を浮かべた瞳を隠して、
普通に仕事を始める彼女・・。
気丈というのは止めておこう、そんな歳じゃなかった。

店では一月以上、Aloneが掛かりっぱなしだった。
男の心境を詠った歌よりも、女性心の詩が沁みる。
きっと自分の中には別れた女性達とのシンクロニティーがある。
やがてKは店を辞めていった。

あれから彼女とは会っていない。
連絡も取れなくなった。だが、幸せならいい。
ゴールデン街に来ないと云うことはきっと幸せなのだろう。
「膝枕の様な酒場」この街を舞台にした映画が言っていた。
確かに・・

ここを卒業した人は出来るだけ
帰って来ない方がいいのだ。

勿論、Aloneじゃ困るけれど・・




記:2003年6月13日(金)  






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