罪と罰

中学生編


■中学1年生・ハムスター
 夜長い時間を一人で過ごす私が二度目に飼った動物はハムスターだった。小学校の時に飼ったインコは私がろくに面倒を看なかったために二週間で死なせてしまった。それから少し大きくなり余計に孤独を覚えた私はハムスターを溺愛していた。籠から出してよく部屋で遊ばせた。ある日、いつもよりも長く遊ばせたためか、ハムスターは大人しく籠に戻ろうとせず、ふてぶてしく部屋を逃げ回った。遂に頭に来た私は身体を強く握り、掴み取った。名無しのハムスターは私の手を激しく噛んだ。もの凄い痛みに私の血は頭に登り切る。私はハムスターを透明な容器の中に押し込み水責めの刑に処した。ヒクヒクと痙攣する様に私は暫く興奮を覚えていた。

【判決;有 罪 懲罰;孤 独


■中学1年生・SMファン
 新宿は番衆町(現新宿五丁目)のマンションに移り住んだ頃、思春期の私は女性の裸体に興味を持ち始めた。しかもただの裸ではない。それは共同のゴミ集積所の新聞雑誌類をまとめておく棚にあった。私が初めてSMなるものと出逢った本である。あの出会いから私の性的嗜好はサディズムへと走り始めたようである。緊縛された女性達の色香に私の心臓は激しく鼓動した。私は学校帰りには必ず集積所を覗いた。本は時々手に入ったがいつもあるわけではなかった。私はどうしても更なる刺激を求めて、到頭、未成年であるにも関わらず、本屋でその手の本を購入した。余りの緊張にそれは流石に買いにいけなくなった。本が手に入らないために私は自分で裸女を描くようになった。妄想と漫画が大変上手くなってしまった。その欲望のお陰で私は絵の才能が開花し、遂に美術で5をとるようになった。あのまま頑張って描いていたら今頃は永井豪を越える変態漫画家になれていたかも知れない。

【判決;有 罪 懲罰;変 態


■中学2年生・別冊ロードショー
 今、私の経営している店には集英社の「ロードショー」の編集者の方々が時折見える。来ていただいているのに申し訳ないが、もう30年以上も本は買ったことがない。だが、性欲に加速がつき始めた頃の愛読書は、間違いなくロードショーの別冊だった。別冊で取り上げていた映画は殆どが成人向けのもので、かなり女性の裸が多かったのである。映画の本ならば買い易いし、後ろめたさも少ない。私は学校にも堂々と本を持ちこみ、体育館の裏の小さな空き地に気のあった仲間を集めて本を見せて楽しんだ。私は当時校内委員だったので、荷物検査に引っかかることはなかったのだ。

【完全犯罪】


■中学2年生・窓ガラス
 中学の時は校内委員という生徒会の役員をやっていた。学校にはいつも一番に行って門を開け遅刻者を取り締まり、一番遅くまで残り下校を促し、門を閉めるのが重要な仕事だ。その他に朝礼で週の目標を報告したり、風紀の取り締まりをやった。しかし、実態は正反対の極悪だったのである。学校に一番に行って、私がSやIとよくしていた事は、誰も登校して来ないうちに教室をひとつづつ廻りながら、チョークを集め、それを投げて廊下の窓ガラスを割りまくるのだ。眠気も覚めて爽快な気分になる。多いときは一日に50枚ぐらい割ったことがあったかも知れない。
 私は次の週の朝礼の校長挨拶での犯人追及にほくそ笑みながら、暫くガラスを割り続けたのだった。夜は誰もいなくなった職員室に父兄が持ってきたお土産を頂くのである。果物を頂戴して教室で喰うのである。  そして私は月曜の朝礼では全校生徒を前にして先週の学校に於ける出来事を伝え、風紀を正すように唱えるのである。

【完全犯罪】

■中学2年生・果物
 校内委員には様々な特権がつく、と言っても自分で勝手にしているだけのだが。数々の悪行の中でも美味しかったのは、夜、誰もいなくなった職員室に忍び込み、父兄が持ってきたお土産を頂くのである。私の在籍していた中学校には三つの職員室があり、小さな二つの職員室は数人の教師が担当する部屋だった。不思議と受験のシーズンになるとこちらには親達からの届け物が多い。現ナマは流石に見たことがないが、一番多い差し入れは果物だった。しかもなかなか上等な季節の品が多い。教師の動きは全て読めているので、時間を見計らい、品を頂戴して教室で喰うのである。特に忘れられないのは柿だった。柿があれほど甘く瑞々しい果物であることを教えてくれた。

【完全犯罪】


NEXTで《高校生編 》へ進みます。


【RETURN TOP】  【NEXT PAGE】