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罪と罰
小学生編2 |
| ■小学校5年生・蝋燭 |
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親が共稼ぎの水商売の息子等は勉強の仕方など知るわけもない。夜は怪獣番組を見て、ドラマを見ればもうすることなど何もない。いつしか私はベッドの側にあった小さなテーブルの上にロウソクを立て、並べはじめていた。勿論、初めは火を点ける気などはない。ロウソクそのものが余り見たことのない存在だったのだ。多分、停電の時に火を点したのを見ていたのだろう。私は寂しさを紛らすためと神秘の明かりに惹かれ、部屋を暗くしてマッチを擦った。そして何本も火をつけていった。安定の悪い一本が倒れ、それに気を取られていると別の一本が倒れた。慌てた私が立ち上がるとロウソクは次々と倒れ、ベッドの淵に引火した。それから火は瞬く間に燃え広がった。ベッドの半分ほどが燃え上がり、私が恐怖に当惑していると、窓からぼんぼんと出てゆく煙を茫然と見つめた。暫くすると隣のラーメン屋の店主がバケツを抱えてやって上がって来た。そして水をばらまいて、寡黙に降りて行った。私はパンツとランニング姿のまま震えていた。酔った親が気が付いたのは、鎮火してからのことだった。
【判決;有 罪 懲罰;恐 怖】 |
| ■小学校5年生・机と椅子 |
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5年2組はエネルギーが有り余っているクラスだった。どうして集団で破壊活動を行ったのかは記憶もないが、屋上に木製の机や椅子を持ち込んだ約8人は、それらをコンクリの床にぶつけ、粉々にした。そして破片を学校の隣の民家の屋根に次々と放り投げた。瓦屋根の壊れる音が心地よかった。それは一日では収まらず、何日か続いたような気がする。やがて学校側にクレームが寄せられた。雨の日にひどい雨漏りがするようになったらしく学校が弁償をすることとなった。不思議と逃げも隠れもしなかった私達は、担任に屋上に連れていかれ、激しい平手の往復びんたを喰らった。しかし私達は余り応えず、不思議な連帯を強化することになった。
【判決;有 罪 懲罰;痛 打】 |
| ■小学校5年生・バリケード |
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5年2組は男気が異常に強かったクラスと言えたかも知れない。数人の男子を除いて、私達は「何故男が家庭科なんかをやらなければならいんだ」と口走っていた。家庭科の授業が大嫌いだったのだ。「やらなきゃ駄目なのよ、授業なんだから」と比較的若い女教師の高圧的な物言いにも不満があったのかも知れない。結局ある日私達は授業をボイコットすることを決定した。家庭科室のベランダに20人以上の男子生徒が出て、机を重ねてバリケードを作った。完全に2時間をそこで立て籠もり、教師が泣くのを私達は喜んだ。しかし、どういう経緯か、私達はその事で余り怒られなかった。まだ、家庭科という授業が組み込まれたばかりのせいだったのかも知れない。その後暫く、担任は授業の殆どをサッカーとドッジボールに変更して私達のエネルギーを消耗させた。賢いやり方だった。その学期のバリケード仲間の家庭科の通信簿は全員が「1」だった。
【判決;有 罪 懲罰;落第点】 |
| ■小学校6年生・怪文書 |
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その当時に見たニュース事件か、ドラマの影響だったか忘れたが、当時私は怪文書なるものを流行らせた。体育の授業がある時はみんなが着替えて校庭に向かう。そんな時、新聞の切り抜き文字を貼り合わせて作った「私は貴方が好きです」という無名の怪文書を、クラスメートのバッグの中に忍ばせるのだ。一喜一憂する仲間の表情を見て私は笑っていた。次々と巧みな文章を作っては色々な奴のバッグに潜めるうちにどうも、これが純粋な告白ではなく完全な悪戯と気付かれてしまったらしい。うっかり教室に一人いるいるところを一度だけ目撃され、疑惑を持たれそうにそうになったが、それもポーカーフェースで上手く交わした。この頃から表情を隠すテクニックが身についてきた私は更に人を罠に陥れることになる。私の歪みは成長と共に大きくなっていった。
【完全犯罪】 |